日曜の夜に観るべきものではなかった。
いじめ、性的虐待、DV、貧困という地獄の中で極限まで絶望が高まった時に「無垢の祈り」がどのように捧げられ、叶えられるのか。
神のいない世界で無垢の祈りは連続殺人鬼に捧げられた。あまりに陰鬱な現実に途中から連続殺人鬼が本当に救いになるものと期待する。
しかし最後にフミを待っていたのは完全な絶望そのものだったというのだから本当に辛い。殺人鬼の表情を見る限り、彼はヒーローではなかった。彼の表情に見えた戸惑いと混乱は神になるべきだった殺人鬼から神秘性を奪い去った。これではカタルシスはどこにも無い。
この9歳の女優の力はものすごい。どのようにこの年齢でこの役を演じたのだろう。あのボサボサの髪の間から睨みつける無表情な顔と不安定なインダストリアルミュージックの組み合わせの迫力はすごかった。
不満点は刑事(らしき男2人)のくだりが妙に説明的で白々しかったので、一瞬没入感がなくなってしまった点。