わたがし

トランスフォーマー/最後の騎士王のわたがしのレビュー・感想・評価

5.0
in IMAX3D
 もう最初から最後まで本当にしあわせだった。しばらく映画館で映画を観てなかったというのもあるかもしれないけど、本当に涙搾り取られるぐらいしあわせだった。最後は自分が何に感動しているのかもわからないまま泣きながら「最後の騎士王ってマイケル・ベイのことじゃん…」と思って鳥肌がゾクゾクゾクっと立った。
 ガチで3Dを愛してる人にしか撮れない3Dショットの連続、3Dが下火になってマンネリ化つつある中で「俺なら3Dでどう魅せるか?どう驚かせるか?」という3Dの研究心と熱意に満ちた全編だった。何かが衝突した時の破片、砂埃、火花も細かく細かく全部立体視できるし、建物から差し込む日の光が3Dで片目にだけ入り込む演出(ロスト・エイジの時もやってたけど今回クドいぐらい何回もやる)も最高だし、何よりバカみたいに被写体がガンガン飛び出してくる「ピラニア3D」イズムみたいなものがこんな何百億もかけた大作映画で継承されてる感じがエモすぎて死ぬかと思った。それがしかもちゃんと2時間半ずっと続く。
 なので3D映画にありがちな「あれ…?そういやこれ3D映画だったっけ…?」みたいな感覚がなくて、最初から終わりまでずっと「3D映画」の緊張感があり、いつスクリーンを突き破って物がぶっ飛んでくるかわからない緊張感がある。なのでドラマが多少わかりにくかろうがキャラクター描写が雑だろうがそんなことは気にならないし(緊張感、集中力はずっと強制的に持続させられるので)、それでも気になる人は勝手に想像して補完すれば良いだけの話。でも正直そうやって補完する猶予もない情報量で、本当に一本の映画として完全にぶっ壊れてる。会話の切り替えしでいちいち画角が変わるのとかもう本当にどうかしてる。
 全てのドラマや描写は「一応、描いてみたよ」の域を越えずに凶悪な編集ですぐ次の話に持ってかれるし、クライマックスなんかは編集マンも麻痺してきたのかってぐらい「テンションのみで繋ぎました!!」みたいなシーンもある。これがパラマウントに許されて(というかむしろ求められて)、ちゃんと全世界で公開されているという事実が堪らなく最高だし、本当に何百人という人で何百億というお金をかけてこんな意味のわからないどうしようもなくごちゃごちゃな映画作って「観ろー!!」って言って一定数の人が「新作だー!!」って言いながら喜んで観てるっていう事実がもう素敵すぎて人生最高!!!!!!!!!!!ってなる。
 インタビューを読むとこの撮影、毎日14~16時間ぐらいの撮影でトータルで8か月とか掛かったらしくて、そんだけの労力と時間!!!!!を賭けて(掛けてというより賭けて)作った映画がこれ!!!!!って考えるともうめっちゃ泣けてくる。クライマックスの雲を切り裂く戦闘機も、一気にトランスフォームしていく描写をスローで魅せる時の小さな火花ひとつひとつも、マーク・ウォールバーグの後方に差し込む露骨にカラフルな照明も、全部全部自分と同じ人間が作ったんだ、と思うともう、本当に人間は最高、映画は最高って感じですよね
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