TAKU

THE COCKPITのTAKUのレビュー・感想・評価

THE COCKPIT(2014年製作の映画)
4.5
ラッパーのOMSBとbimが曲作りをするプロセスを記録したドキュメンタリー映画。

舞台はマンションの一室、カメラが置かれているのが3箇所くらいで、カットも100あるのかないか。ナレーションもテロップもなく、まるでの想田和弘の観察映画のようだ。しかし、観ている間退屈と感じないどころか、 ずっと見ていたいとさえ思った。

OMSBがリズムに合わせて首を振りながら、レコードからサンプリングした音をMPCで分解し、ビートを組む作業をしている。段々、ビートが生まれてくると、後ろで別のことをしているラッパー仲間たちが近づいていき、「コレ、良いね」と言いながら、リズムに合わせて体を動かす。被写体である彼らの動きと音楽のビートがシンクロし、それによってただならぬ高揚感が生まれていた。

また、OMSBとbimがやるナイキの靴箱の上でスーパーボールを転がす遊びや、何気ないやりとりなど、 創作における“何でも無い一瞬”をカメラに収めていたのも素晴らしかった。僕は大学で映画研究会というサークルに所属していた。部室には、パソコンで編集作業をしている者もいれば、遊ぶ者もいた。そして、下らない話で花を咲かせる時もあれば、編集作業をしている横で「この切り返し良いじゃん」と喜びを分かち合う時もあった。今思うと、みんなで楽しく「映画」という創作物を作っていた“何でも無い一瞬” が愛おしく感じる。

完成した楽曲をバックに、首都高を走る車から眺めた東京の街並みが流れるラストは、ひとつの創作物が完成し羽ばたいていくような感動があった。