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恋人たちの3104のレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.0
妻を通り魔に殺され裁判を起こそうとするも、その準備により貧困にあえぐ男。
冷めた家庭の中で永劫続くかに思える平凡な暮らしを続ける主婦。
親友への思いを秘め生きている、同性愛者の若きエリート弁護士。
思うようにいかず、時に残酷な仕打ちに見舞われる3人の主人公。映画は彼ら彼女らのパートをかわるがわる描きながら進んでいく。

ところどころ小さく笑いは配置されているものの、基本的にはずっとずっと「重い」空気が続く。
それも非現実で突飛なシチュエーションではなく、あくまで地に足の着いた現実の延長・・我々も遭遇するかもしれない境遇下にて物語は紡がれてゆく。

そして登場人物達の演技もまた、現実と乖離せず「リアル」に、重心も低めで展開される。これは素人やそれに近い人をメインに据えたキャスティングも影響しているのかもしれない。

観ていて中盤~終盤まではとくに辛い。メイン(と僕は見ている)の「アツシ」がなぜそこまで辛い目に遭わなければいけないのか、もう終わってくれ・・とまで思ったほど。
同じくハッピーな内容ではないが、他の2人~主婦の瞳子と弁護士四ノ宮~のエピソードが「動き」を感じさせるのでそこで感情的に“息継ぎ”が出来たのが救いだった。

印象的なシーンや描写はたくさんある。挙げればキリがないくらい。そしてそれらがどれも「さりげなく」提示されているところが上手い。
(ちなみに3つのエピソード、及び登場人物達は劇中でわずかにリンクし合う。その塩梅もまた上手い)

物語が収束していく中、最後の最後の「指差し確認」で涙腺が緩んでしまった。
その後にあの青空。

コピーにもあった「それでも人は、生きていく」
・・うん、そうだよな。
きちんと〝希望〟が描かれている。