コッタレス

恋人たちのコッタレスのネタバレレビュー・内容・結末

恋人たち(2015年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

主人公の一人である、アツシは物語冒頭からすでに深く傷ついて壊れてしまっている。唯一の生きる目的が裁判を起こすことだが上手くいってない。その上、至る所で神経を逆なでされる目に有ってしまい彼はさらに疲弊してしまう。

当然彼は怒り狂うわけだが、その後他者に対して攻撃することはない。すれ違いざまに笑われても自宅に飛び込んでからやっとキレ出すようなかわいい奴なのである。役所で酷い対応されても殴りかかることなく睨みつけるだけ(このシーンは最高)。食堂で嫁を殺した犯人が措置入院になったニュースを耳にしても、その場でじっと静かに深く怒るだけ。

理不尽なことで妻を失ったためなのか、他者に直接攻撃したり
周囲が不安になるような行為を意識して抑え込んでいるように
見える。そこがいじらしくて、なんとかしてやりたいな~と思えてくるのである。

彼のパートでは黒田に心情を吐露するシーンや終盤の位牌に向かって語りかけるシーンはもちろん真に迫ってグッとくるのだが、個人的に好きなのは飴玉のシーン

アツシの同僚の女の子が取り留めの無い話をしながら、彼に飴玉をあげるだけの場面なのだが、妙にホンワカする。彼女が彼の事情を知っているかは定かではないが、絶妙な距離感で接してくれるので一瞬で彼女が好きになってしまった。

フローリングの床に耳を当てて階下の親子の会話を聴いている場面なんかもそうだが、こういう何気ない積み重ねが人の心を癒してくれるのだなと実感させてくれる。

この群像劇は奇跡なんてものは起きず、明確な解決策を提示して終わってくれるわけでもない。ある意味、すごく残酷な結末なのだが、それでも登場人物たちの未来に思いを走らせずはいられなくなってしまう、そんな映画でした。

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用語解説
ブラッキー:部落
シャワカン:シャワー浣腸(シャワーの先端のノズルを外してホースから肛門にぬるま湯を注入して行う浣腸)

余計な知識が増えました