MASARUの痛風は経過観察

恋人たちのMASARUの痛風は経過観察のレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
5.0
感じたこと、考えることが多すぎて、キャパオーバーになった。
こういう映画を観ると、俺は家に帰って新井英樹先生の「宮本から君へ」を読み返すようにしている。
感情が整理できるからだ。

初日の上映前の舞台挨拶で、出演者のみなさんのお話を聞いて泣きそうになった。
渾身の作品とはこういう映画をいうのだと思う。

キャラの掘り下げ方が凄すぎる。
そこに全身全霊でぶつかる役者さんの演技がのっかって、とんでもないものを観てる感じがした。

お願いだからコイツらの話を聞いてやってくれ、と思いながら観た。
金槌で心の壁をコンコンしてあげてほしい。

「マスク外してもらえませんか?」
「空調気にするのやめてもらえませんか?」
のセリフにドキっとた。
自分も、同じようなことしてるんじゃないかと。

世の中でヒットしている多くの映画は、美しいものを描いた映画だ。
多くの人はなぜ美しいものだけを見たいのだろうか?
俺は映画で「本当のこと」を観たい。


「宮本から君へ」の11巻の前書きにこんなことが書いてあった。

同じ世間を生きながら、
「人間まだまだ捨てたもんじゃない」
と思える世間と
「ヒトなんか信用するとロクな事がない」
としか思えない世間があって、
僕はどちらかというと
後者の世間を通らされたおかげで
人間を信じたいと思えるようになりました。

新井英樹

橋口監督が「ぐるりのこと」を撮ってから7年間どんな人生を送ってきたか想像がつかないが、勝手にリンクさせてもらった。


この映画も「世の中はクソだ」という前提から希望を描いていた。
そこからじゃないと描けない希望だ。
ここで描かれる希望とは、
「想いは通じる」ということだ。
どん底にいる人たちに差し伸べられる小さな想いに勇気づけられた。

世の中は捨てたもんじゃないのだ。