Ijuin

恋人たちのIjuinのネタバレレビュー・内容・結末

恋人たち(2015年製作の映画)
1.1

このレビューはネタバレを含みます

主人公は3人。

まずは3年前に通り魔に奥さんを殺された男。彼は未だに犯人を殺したいほど憎んでいて、それを感情を露わにして表現している(些細なことで他人にキレて、同じ目にあってみろと連呼するなど)。そして裁判のために弁護士捜しに金をかけていて、働いているが(恐らく働き出して1年ほど?)保険料を15ヶ月分滞納していた。犯人を殺したいけど殺せない、それなら裁判を起こしたいが起こせない、それなら自殺したいが自殺できない。最終的に、遺骨?に向かって思いを吐き出しながら号泣。それで何かが吹っ切れたかのように、最後は青空に向かって“よし”とか言っちゃって、仏壇には好きだったチューリップ飾っちゃったりする。

2人目は田舎で旦那と姑とパートをしながら暮らしている女。彼女は特に不満を表に出すタイプではなかったが、皇室の雅子さまが大好きで、自分が雅子さまに会ったときの映像を何度も見返している。
夫との関係は冷め切っているが、非常に献身的。セックスレスではなく、ただの性処理のようなセックスもしている。そんな日常で、何故か一羽のニワトリを一緒に追いかけただけで、ある男に惚れてしまう。趣味で書いている小説を読んでもらったりしているうちにセックス。結果的に、家を出てその男と養鶏場を始めようと決心するが、実はその男は薬物中毒。ラリっていて何も聞いていないその男に自分のことを語る。最後は旦那と姑の家に戻ることになって、もとどおりの生活になる。

3人目はゲイの弁護士。仕事はできるようだが、弁護士という仕事柄か階段から突き落とされて片足を骨折する。彼には学生時代からずっと片思いしている男友達(妻子持ち)が居るが、他の年下男性と付き合っている。しかし、本当に好きなわけじゃないから、おもちゃのように扱っていて、それがゆえに振られてしまう。追い打ちをかけるように、片思いしている男友達の妻に目をつけられて、男友達の息子にイタズラしているのではないか?というあらぬ疑いをかけられてしまう。疑いを晴らそうとするが、電話を切られて、繋がっていない電話に向かって語る。自分は悪くないじゃないか?過ごしてきた時間は全部無駄だったってこと?と言って号泣。


覚えてる範囲でざっとこの三人の主人公について書いた。

全部の登場人物に丁寧に触れるのは大変だから、通り魔に奥さんを殺された篠塚アツシについて書く。この映画の根幹だと思うし。


篠塚を見て、もし自分だったら?と想像した人も多いだろうけど、ただ想像することと、想像したことを具現化することは全く違う。

私が良くないと思ったのは、この映画の篠塚の描き方によって、私たちの想像力が広がるというより、むしろ狭まるように感じた点で。言い換えると、この映画を見たあとの想像にはバイアスがかかってしまうと思う。

大切な人を殺された=?

?=人それぞれ(簡単に表現できない)

であるが、この映画で描かれてるのは、非常に簡単にすると、大切な人を殺された→3年間の葛藤→犯人殺したいけど殺せない、裁判起こしたいけど起こせない、自殺したいけど自殺できない→号泣→未来に向かって前向きに生きていこう(青空+黄色いチューリップ)


なのである。なんでそうなるのーーーーー????????だし、これが一種の圧倒的な真実のように描かれているわけです。私たちが住む世界は基本的に自殺=悪です。

だから、苦しくても死んじゃダメ!前向きに生きていこう!が絶対的な規範になっているのだけど、

恋人たちはその規範を強化するような映画だから、私は評価できないし嫌い。

絶望を抱えていたとしても、それを乗り越えて必死に生きていくしかないんだね。

なんて絶対に思わない!

だって本当にそうなのかな?

辛いことがあっても死んじゃダメなの?死にたくても死んじゃダメなの?たとえそうだとしても、そういうふうに言うべきなの?

あと、人々の心に残る絶望とか哀しさとか虚しさとか遣る瀬無さとかを描くためには=下品さ、愚かさ、貧困、薬物、酒、タバコ、セックス、同性愛者、死別、田舎、詐欺、通り魔殺人なのー?

って思った。こんなてんこ盛りである必要があるのか?????

絶賛されていることに関して文句はないです。感想は人それぞれだし、でも、私はここ数年で一番退屈な時間だった。口からだけでなく両目から何度も欠伸が出ました。

ただ、批判するためにはしっかり振り返らなければならないわけで、そうしていると作品に対する理解も深まり、だんだんそんな悪くなかったんじゃないかな?とか思えてしまうのだけど、恋人たちはやっぱり良かったかもと思えませんでした。

それは通り魔に妹を殺されたからって、婚約者に振られますか??友だち全員いなくなりますか??と思ったからです。