かや

恋人たちのかやのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.6
今年公開映画126本目。

今年の邦画ベスト級!!
オススメです!!


非常に感想が書きづらいので、これで終わりたい笑
どこまで喋っていいのかの線引きが難しいのと、実際に観てどう感じるのか系映画(今無理矢理ジャンルを作りました)だと思うし。


キャラクターの設定も知らないで観たかったって感じたので、これを伏せて書くと、悲しみ、やるせなさ、空虚感などといった負を背負っている3人の群像劇。
3人が絡むようなものではなく、それぞれが違う場所でそれぞれ生きているということを描く。

ヘビーな内容であり、観ていて辛いシーンもあれば、世の中の非情さ、不条理さに愕然とし、イライラさせられることもある。
なおかつ3人の境遇に共感することもできない。
それでも最後は、なぜかスカッとした気分になり、ちょっと前を向けるような気にさせてくれる映画だ。

一番の大きな要因は、主人公の1人であるアツシの上司の言葉。
その言葉だけ切り取ってみれば、全く大したことは言っていない。
ただその何気ない一言が、この映画だと信じられないくらい響く。

彼らはそもそも会話ができていない。
想う人たちへは一方通行であり、会話として成立してると言い難い。
そんな人たちを見ていたところに、
笑うこと、人と話すこと、空を見上げること、
それだけでも人生がほんのちょっと変わって希望を見いだせるかもしれないと思わせてくれるような素晴らしいセリフだ。

加えてヘビーな内容のなかに、オフビートな笑いを入れることで、絶望感を和らげており、ズッシリくる内容とのバランスがちょうどいい。
「自然ってすごいね」は今年のベストセリフ賞にノミネートだし、弁当屋さんのケンカは今年のベストシーン賞にノミネート。

キャストのほとんどは無名であるが、まるで横で見てるかのようなリアリティーを感じる。
普通の人たちって雰囲気と、映画っぽい行動、言動を極力少なくして、自然さを演出しているからだろう。
実在感が限りなく高い。
脇を固める役者も、ちょっとしか出てない人でも印象に残る存在感があった。

できるだけ本作の本質に触れないで書いたつもりです。
登場人物に共感、感情移入できないと映画はつまらないって人にはまず向かないでしょう。
これを観て何を読み取り、感じるかが重要だと思います。

個人的には、月並みですが、非常に素晴らしい映画だと思いますし、3人を通じて、現代社会の閉塞感や非情さなども描いていると思います。

この人たちは悲しさを受け入れたわけでも、悲しさから逃げ出したわけでもない。
でも孤独ではなくなった。
周りの人との些細な出来事でほんの少し前を向き、ほんの少し希望を持てただけである。
それにこの悲しさを背負えたのは、「恋」してた人がいたからであって、「恋人たち」はこういうところからもきてるのではないでしょうか。←あくまで個人的な推測。

なんとなく誤魔化し、嘘をつくことが蔓延るこの世界に、誠実なメッセージを投げ掛けた傑作です!!

神奈川県は、上映館は1館のみ。
素晴らしい作品なのに、予算も少なければ公開館数も減少で、どんどん追い込まれているこの現状は悲しいですね…

本作鑑賞前に「ぐるりのこと。」観ておきたかったんだが、レンタル中でまだ観れてないのが残念です。