JunjiKamatsuka

恋人たちのJunjiKamatsukaのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.6
この映画はこの映画の世界観や、ストーリー、ルール、教訓やメッセージなどを台詞ではなくほとんど映像表現と演技をもって語っていた。役者による演説大会?脚本の読み聞かせ?そんな物を上映し続ける為だけに映画館がある訳ではない。映像にによる語り口が本当に素晴らしい。
映画好きなら好き嫌いはともかく時にはこういうパンチのある作品に触れるべきである。
登場人物達は三者三様のどうにもならないドン底設定を背負わされ、その中で死と絶望への抵抗を続ける。その様子が生々しくこちらに掴みかかってきて観客を客席という安全地帯からドン底の世界に引きずり込む。映画の中の出来事を観客は他人ごととして捉えられなくなるから、鑑賞後も「ああ、これはドン底人生から這い上がる映画かな。」などスラスラと薄っぺらい感想は出てこない。やばいもん見たな。なんなんだこれは?じゃあどうすれば良いんだ?なんなんだよチクショー!
口は沈黙しながら頭の中は自問自答と葛藤の繰り返しである。スクリーンから伝わる痛み、鈍い感触。光、希望、広く深い闇。素晴らしい。