Torichock

恋人たちのTorichockのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.3
「恋人たち」

人は自分のことで精一杯、自分のことで。あるいは、自分のことから距離を取り逃げることしかない。それもまた、自分のことで精一杯なのだろう。

だから、絶望的に未来の見えない今を生きる僕たちは、その真っ暗で残酷な世界を歩く道筋の中で、耳を澄ませば聞こえてくるはずであろう"助けてほしい"という言葉に対して、耳を傾けることもできないでいる。そして、僕以外の絶望的に未来を見えない真っ暗な道を歩く人々にとっては、僕もまた真っ暗で残酷な世界の一部なんだろう。そんなこと、1mmも望んでいないのに。
僕たちはきっとこの世界で、知らず知らずのうちに人を傷つけながら息をする世界の一部なんだろう。

おれの身になってみろよ
おれと同じ目にあってみろよ

少しだけ開いた引き戸。
誰かに声を聞いてほしい、誰かここから連れ出してくれ。
黒田は閉じた世界から手を合わせる。
自らの手で扉を開いて、自分の声で自分の心に耳を傾けなければならない。

そこには大きなきっかけなんていらない。まして、大きな声でごまかしてる人間に飲み込まれてはいけない。
ほんの小さな優しさや、ほんの小さな温かみだけが、きっと世界は開かせる鍵になる。僕はそう信じている。

相手の心をしっかり読み取ろう。
相手の声にしっかり耳を傾けよう。
相手の目をしっかり見つめて話そう。
相手の痛みをしっかり想像できる人間になろう。

そしてその先に、真っ暗な未来を歩く自分の感情と向き合えた時こそが、きっと青い空を青い空と感じることのできる日々が来るんだろう。
希望はきっと、僕の中にある。
いつ、どうやって、勇気を持って向き合うか。

僕はそう信じてる。

だから、前良し。

あなたの空は、今日何色に見えていますか?