HiromochiKimura

恋人たちのHiromochiKimuraのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
3.8
ここに登録するときに「さあ、SCOREはどうしよう」と考えてみましたが、これが実にむずかしい。判定不能です。

日頃、僕たちは人と対話しているようで、実は自閉的なモノローグをし合っているだけなのかもしれません。それは時に他人と分かり合えないという寂しさを振りまき、僕たちを苦しめます。一方でそこは、自分の秘密を保ち、許し続けてくれる場所でもあります。劇中の登場人物たちが、ふいに「不在の相手」に対してモノローグを語り始める場面は、その白眉です。
この作品は、こうした心の機微や、そこにうねうねとうごめく人間たちの持つ「襞」を、(あえてこの言葉を使いたい)バカ丁寧に描き出しています。それゆえの迫真性が、現実以上に現実らしく感じられます。まるでその時間を生きてしまったかのように、映画の一つひとつの画が、強く心に焼き付いています。
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