きんぽうげ

恋人たちのきんぽうげのネタバレレビュー・内容・結末

恋人たち(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

橋口亮輔の一昨年度キネマ旬報邦画ベストワンの作品。映画を見てみようと決める要素に他人の評判というのがあり、それに左右されたくないという気持ちは強い方であると思うけど、このところの見方は、その様に偏った見方をしている。それだけ経験から遠ざかっていたための方策だが、口惜しい。監督は以前「ぐるりのこと」「ハッシュ」を見ていて、気に入った記憶のある人だったので、見るのを楽しみにしていた。
見終わって、題名とのギャップを思ってみたが、結局はそういうことだったのかと納得はできたと思う。
3つの話の流れの中で見出されたのは「よし!」という言葉であったり、「いらないんじゃない」とか涙で表されていた。
通り魔殺人事件で妻を奪われた橋梁補修工事会社に勤める、生活に苦しく、健康保険料も払えない男。仕出し弁当屋に勤め、ミーハーで典型的なおばさんといった女性が、たまたま知り合った男の夢のような話に乗っかってしまう直前、男がシャブ中である事が分かり、元の暮らしに戻っていく話。そして同性愛nの弁護士のまた友人の子供に手を出したのではないかと疑いをもたれ、現職に復帰できるかわからない話。最初の男と弁護士は接点はあるが、話は決裂する流れであった。
現代をうまく捉えているなあという感想か。発展的に流れていくストーリーではなく、持ち直して、今までの生活を続けていく以外ないかという諦念の雰囲気が充満していて、描写という部分からは、すごくうまいなと思わせてくれたのは確かではある。
工事の仕事をしている男と役所の保険課の男とのやりとりや女の家で「じゃあ買ってくる」と自販機で衛生用具を買ってきて、義務的に交わる場面やその後の処理とか、丘に登って放尿するところとか、あまり見られない場面ではあるが、今の日本を象徴してるなと感じ行ってしまったりもする。リアリズムなのだろうか、そうなんだよなあ、わかる、わかる的なものなのか。
関係としての今の緩さといった感じが本当に伝わってきたように思えた。
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