えいがうるふ

恋人たちのえいがうるふのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
1.0
評価を下げて申し訳ないが、正直なところ、自分には合わなかった。巷の高評価と自分のそれに乖離を感じてネットで色んなレビューを読みまくってしまったほど。

それぞれに痛々しいものを背負いながら、一種の底辺で生きる人々の痛さ醜さ情けなさ、焦燥感や抑圧感・・をリアルに描き出そうとしているのは分かるのだが、どこか共感しがたい、例えば主人公の激白の最中にも「えっ、なんでそうなる?」と首をかしげるような流れがあったり、設定として自分に一番近いはずの中年主婦があまりにも共感し難い愚かな女に描かれていてムカムカさせられたりと、現実以上に露悪的に演出されるリアリティにあざとさを感じるばかりだった。
決してエログロそのものではないのに、目も耳もそむけたくなるような描写が次から次へと供され、現実世界で十分疲れている自分にとっては、映画館の大スクリーンで長尺で観るのはかなりきつかった。せめて、自宅の小さなテレビの画面で小さな音で夜中にひっそり見ればよかったと後悔した。

観たタイミングが悪かったのかも知れない。私が約2時間で現実を忘れ心をリセットする装置として映画に求めている要素が残念ながらこの作品にはなかった。
それでも最後の最後、エンドロールの後まで見続けた者へのご褒美のようなワンカットに少しだけ救われた。