よしおか

恋人たちのよしおかのレビュー・感想・評価

恋人たち(2015年製作の映画)
4.6
「人生は何かを獲得することではなくて、何かを失っていくこと。」
という言葉を思い出した。本か映画のセリフだと思うが、詳細は思い出せない。

今この瞬間も、どこかでなにかと向き合ってる人がいて、辛くても逃げずに生きている人がいる。

辛いことがあると、つい自分だけが辛い思いをしているように感じ、周りが見えなくなる事があるが、そんな時「自分だけではない」と少しだけ希望を持てるかもしれない。

実際、全てがうまくいく人生なんて有り得ないし、辛いことがない人間なんていない。

人生は失うことだ。
違いあるとすれば、それと向き合うか、逃げるかである。と感じた。

青空を見上げる主人公にこんなに共感する気持ちは初めてかもしれない。
落ち込んでいた表紙のシーンは夜だったし、対になっているのかな。

余韻が残るいい映画だった。


ワークショップで出会ったアマチュアに近い俳優陣を起用したとのことだが、とても緊張感あるいい演技だったと思う。

監督は、彼らが限界を超えるようなものにならなければ、彼らの未来に繋がるものにならない。と考え、台本はみんな、あて書きで、書き終えるまで8ヶ月かかったとのこと。
この強い想いが俳優にも伝わり、力強い映画になったのだろう。

腕のない上司と部屋で話すシーンか印象的。
やりきれない思いが爆破しそうな緊張感と、沈黙に時計の針の音だけが響く演出。彼の耳の良さともリンクしていて、すごく良かった。

ハッシュのときに、ホン・サンスを思い起こさせるような長回しのカットがあったが、本作では早いズームもあり、すこしニヤッとしてしまった。



個人的には、エンディングの表題と同時に、サニーデイの「恋人たち」が流れてたら最高だった。
でも、スーパーカーのAOHARU YOUTHみたいなエンディングも良かった。



監督コメント
飲みこめない想いを飲みこみながら生きている人が、この日本にどれだけいるのだろう。今の日本が抱えていること、そして"人の感情"をちゃんと描きたい。
よしおか

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