鰯

仁義なき戦いの鰯のレビュー・感想・評価

仁義なき戦い(1973年製作の映画)
4.3
神輿

終戦直後の広島県呉市。広能昌三は暴漢を射殺して刑務所に収監される。出所すると山守組の組員となるが、私益に走る幹部や組の対立に広能は否応なく巻き込まれていく

「仁義なき」なんて言いながら、熱い絆でも観られるかと思いきや、本当に義理の通じない世界に驚かされました。悪役が腕っぷしでなく、うまい立ち回りで生き残っていく様には憤慨すること請け合い。そして、痛そう。一発撃ってもあんまり死ななかったり、血が噴き出して、のたうち回ったり。

稀代の名優が揃いも揃って素晴らしい演技を披露しています。菅原文太さんに惚れずにはいられません。セリフの間や表情、どこを取っても美しい。それでいて時折みられるコミカルな動きも秀逸。若杉役の梅宮辰夫さんもよかった。何なんでしょうあの全身から溢れだす兄貴らしさは。突然制服を着るという展開には笑いが堪えられませんでした。
田中邦衛さんもすごかったなあ。驚きでした

広島弁や複雑な人間関係に打ちのめされそうになりましたが、正確に理解しなくとも大筋は理解できるし、誰が誰を殺そうとしているかくらいわかれば十分に楽しめました。そういう意味では変に身構えて避けていたのはもったいなかった
観終わってみると「笑って観る映画」だなと思いました。死ぬときに流れるかの有名な曲も、何度も何度もしつこく繰り返されると笑えてきます。抗争って無益だなあと思うようにもなる。その他、けじめのシーンなど笑える箇所は多数あり、友達同士で観るとより楽しい一本だと思います
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