おおさこ

劇場霊のおおさこのレビュー・感想・評価

劇場霊(2015年製作の映画)
3.0
注意:タイトル通りの映画ではありません。

20年前に撮影所を恐怖のドン底に叩き落とした女優霊が次は劇場で大暴れ!・・・と勝手に思い込んでいました。
今回は、とある人形作家が作った球体関節人形が主役です。そうです、女優も劇場も全く関係無いです。

物語は島崎遥香さん演じる若手女優がエリザベートをモチーフにした舞台に出演する顛末を描きます。若さと美貌の為に処女の生き血を浴びたとされる貴族のお話で、吸血鬼伝説のもとになったとも言われています。その小道具として例の人形が使われます。この時点で稲川淳二さんでなくとも、やだなあ〜こわいな〜、と先行きを不安に思うはずです。案の定、主役の座を狙った女優たちの争いのさなか、人形の暗ーい影が忍び寄ってきます。

この辺の「静かに忍びよる恐怖」の演出が少し弱かった気がします。人形の目が急にギョロッと動いたりといった怖さはありましたが、何かが映ってるんじゃないか?潜んでるんじゃないか?と思わせる画面の余白や不協和音を使った演出がもっと観たかったです。それと例の人形の謎に迫る部分ですが、結構あっけなく判明する為ミステリーとしての面白みはありません。その真相においても、えっ?それって人を怨むような事?それに劇場で暴れるのとあんまり関係なくない?と思ってしまいました。もしかしたら、脚本上ではその辺がもっとしっかりと描かれていたのかも知れません。

事の真相を知った島崎遥香さんがこれ以上犠牲者を出さない為に舞台を中止しようとするシーンがあります。演出家に「人形の霊が・・・」と丁寧に電話したり、マスコミが取材しているゲネプロ中の舞台にいきなり上がって「人形の霊が・・・」と訴えたりします。それらの行動が突飛すぎて、果たして犠牲者が出る前に舞台を中止出来るのか!?なサスペンス的なハラハラもないです。むしろ笑ってしまいそうになりました。

ここまでは正直少し残念な映画だなぁーと、侮っていました。が、クライマックスがなんと『キャリー』や『クロニクル』ばりの怒涛の盛り上がりです!体育館も街も崩壊しませんが、僕の涙腺は崩壊寸前でした!例の人形が暴れること暴れること!演者、スタッフ、警察を次から次に餌食にします。そしてその度にパワーアップして姿もちょっぴりマイナーチェンジします!そこからは動きは速いは変な角度に身体は曲がるわで、観ていて楽しくて仕方ありませんでした。島崎遥香さんと人形との決着のつけ方も舞台の内容としっかり重ねてある点も良かったです。

ラストも色々解釈が出来そうで広がりのあるものとなっていました。

Jホラーの大立者が放ったモンスターアクション/スラッシャー映画?と考えて観ると、かなりの傑作かも知れません。