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劇場霊のALABAMAのレビュー・感想・評価

劇場霊(2015年製作の映画)
1.0
松竹配給、日活製作幹事映画。中田秀夫監督の最新ホラー作。だいぶ前に観たが、すっかり書くのを忘れていた。
映画の撮影所を舞台に巻き起こる怪現象を描いた中田監督自身のデビュー作『女優霊』へのセルフオマージュ作品。この度は舞台が演劇へと移る。
豪雨の降りしきる中、とある人形作家が娘殺しの罪で逮捕された。人形を燃やそうとしているところを警察に見つかり、捕まった彼はしきりに「人形が殺した」と主張する。そして現在。新人女優、沙羅は憧れの舞台に主演ではないながらも、役をもらうことができた。公開へ向けて稽古を重ねる中で彼女は小道具の人形の存在が気になり始める。愛憎渦巻く舞台の上で巻き起こる怪奇現象。負の感情の連鎖の中、彼女の運命は…。
『仄暗い水の底から』や『リング』、そして『女優霊』のファンとして期待して観に行ったが、驚くべき駄作だったと言う他ない。公開から間もないにも関わらず、劇場にお客さんは3人だけ。稚拙な脚本。恐怖を全く感じず、観ることの面白さを享受できない演出。出てくる役者は皆、芝居くさい演技。演じようとする気持ちが強すぎて、彼女たちはセリフを飲み込まないまま、台本の通りにしゃべっているだけ。やはり少々台本と変わってもいいから、自らの言葉として喋らないと。上手な役者さんはセリフの真意を変えない程度に自ら言いやすいよう変換して喋る。そしてそのシナリオも中々に不味いシナリオだった。これを映画化してくれと渡されても頭を抱えてしまうであろう内容。そしてその連鎖で演出も不味い。キャスティングとシナリオが良ければ、映画はそれなりの面白さをみせるが、その全てに疑問点を残す結果となった。『クロユリ団地』から不安視はしていたが、ホラーの巨匠の凋落をみた気がして非常に悲しかった。
皆さんの目にどう映るかはまた別なので、是非一度ご覧あれ。
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