いずぼぺ

独裁者と小さな孫のいずぼぺのレビュー・感想・評価

独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)
3.8
とある独裁国家でクーデターが起きようとしている。
独裁者は家族を先に国外に出すが、自らは残留する。統治する国と命運をともにする覚悟なのだろうか、それとも起死回生の計があるのか。想定外の出来事は年端もいかない孫が駄々をこねて自分と残留してしまったこと。
崩れはじめた砂の宮殿は脆く、瞬く間に独裁者は逃亡者となる。子連れの逃亡の旅は独裁者「大統領」の人生とその独裁ぶりを垣間見る旅となる。孫息子の無邪気な言動が独裁者の奢りと身勝手さを浮き彫りにする。
一方、この逃避行は「民主的」とはどういうことなのかを我々に問う。独裁による弾圧、非条理からの解放を得た民衆がどう行動するのか。非条理な独裁に対して非条理な報復を行うのか、否か。新しい国をどこへ向けていくのか。どう行動することが自分たちが待ち望んだ自由で平和な国家につながるのか。独裁者だって独りでは独裁者にはなれなかったのだから。

旅の仲間となったおじいさんが奏でるギターの音色と嗄れた歌声が耳に残る。
(声がレミーキルミスターに似てると思いません?)
11