まっちゃ

独裁者と小さな孫のまっちゃのレビュー・感想・評価

独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)
4.0
とある独裁国家の大統領とその孫は暴政を振るっていた。
罪無き国民を拷問し、少年を処刑し、豪遊の限りを尽くした。
そんなある日、圧政に耐えかねた国民から革命が起き、大統領と孫は権力を追われてしまう。
裏切りや憎しみの中、安住の地を目指して2人は変装を繰り返し逃亡の旅へ出る。
その道中、彼らが目にしたのは…。

大統領と孫
名前をほぼ呼ばれず、彼らは立場の名称で表現される。
まるで家族を持つ人間ではないかのように。

今まで危険に晒されたことの無い孫は
革命は自分とは関わらないもの
自分は安全圏にいる
そんな様子が節々に見られる。
彼は心の底からそう思っていたんだろう。
大統領も再び権力を手にできると信じていた。
彼らは2人とも無意識の内に傲慢だ。

この映画を観ていて
大統領と孫が愛する孫を守ろうとする只の老人に見える。
まるで被害者のようにさえ感じられる。
大統領の悪行は
民衆たちが口にしているし
憎しみを晴らそうとするシーンから
相当なものだと分かるのに。
かわいそうにさえ思わせる見せ方で
けれどその悪行があったことは紛れもない事実で
感情移入する対象が誰なのか迷ってしまった。
この人に賛同して良いのだろうかと。

自分が何をしていたのかを
自分がどう思われていたのかを
それを思い起こす場面が印象的で
もう、何もかも遅い時になって
やっと自分を振り返る姿は虚しい。

ラストシーンに彼は何を思ってたのか。
民の顔を見ることなく
下を向いていたり
目を瞑っていたり
彼が目を向けるべきものから逃げ続けたのが印象的。
まっちゃ

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