ブタ野郎

独裁者と小さな孫のブタ野郎のレビュー・感想・評価

独裁者と小さな孫(2014年製作の映画)
3.6
重い…

割と緩やかなシーンも多々あるが、背景はゲキ重。ていうか見ていて戸惑う。
誰にも感情移入出来るが、画面外から見ていると全員にモヤっとさせられる。
それこそ狙いだと思うし、コレが有るからこそのラストはグッと来る。

残虐なシーンが多々あり、子供がたくさん出てくるしタイトルにもあるが祖父と孫にスポットが当たっているので、割とどのシーンもひやひやする。子供が死んでるシーン程悲惨な物はないなぁ…と改めて感じる。出来れば見たくない。メッセージ性の強い映画なのでこういうのは必要だと思うけど。

個人的に一番テンションがという意味ではなく演出的に盛り上がったシーンは政治犯の自殺。ずーっと顔のアップだけで期待から絶望自殺と表裏一体なあのシーンは良かった。めちゃくちゃ心苦しいけど痛いほど彼の感情が伝わる。
画面外からの声や音なども多くそれが普通であると生々しさを感じる。

あとは趣味ではあるが政治犯たちと陛下が円状に座って酒を回すタバコを回す。カメラも回る。あのシーンはカッコいいね。本当に画面しか見なければの話ではあるけど。皮肉が効果的で良かった。

ギターにもだいぶ救われた。悲惨なシーンの連続だけれども強奪したギターで歌を奏でて子供が踊るってだけで全体がキュッと見易くなる様に感じる。悲しいメロディではなく楽しくなる様なメロディだし。秀逸な構成だった。

割とありきたりというか今でこそ当たり前なメッセージ性かもしれないが、映像としてみると理解度が桁違い。
見れて良かった。
ブタ野郎

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