殺人課の敏腕刑事カールは、ある事件をきっかけに特捜部Qへ転属を命じられ、終わったと判断された捜査報告書の整理が主な仕事となる。
その中に、5年前に話題となった美人議員ミレーデ・ルンゴー失踪事件があり、カールはその捜査結果に改めて違和感を持ち、部下のアサドとともに調査を始める…。
北欧ミステリー「特捜部Q」シリーズを映画化。
デンマーク映画です。
数年前から世界で人気になってきた北欧ミステリーの代表作であり、『ドラゴンタトゥーの女』のスタッフが再集結して手がけたとのことだったので、観てみました。
全体的に暗めの映像で、本格派刑事物の王道のような作品。
最初の30分は少し退屈だったが、徐々に面白くなりました。
刑事物の王道で、謎を解いてゆくドキドキ感があります。
派手な演出もなければ、変なトリックもない。
ハリウッド映画のように、早いテンポでサスペンスを盛り上げるのとはまた違ったミステリー映画。
ハリウッド映画に浸り過ぎているせいか、役者は勿論その後ろにある風景、何もかもが新鮮でした。
ただ、派手なカーアクションやドンパチはありませんので、ストーリーの整合性は素晴らしいですが、エンターテインメントしてはそこまででもありませんのでご注意。
犯人のキャラもしっかり考えさせられるものとなっていて、ただの勧善懲悪になっていないのもポイントではないでしょうか?
非常に過酷な監禁を強いる犯人。
しかし、その犯人が経験した幸せな生活を根こそぎ破壊した原点を知り、怒りの大きさを想像すると、とても複雑な気持ちにさせられました。
確かに異常性はあるし恐ろしいのだけれども、そういう数奇な運命であればこういう事件にもなるやもしれず。
雰囲気は良いので、気づいたらもう少しで終わりそうな時間になっていて、「これ、ちゃんと終わるのか?」と思いましたが収束させてくれましたね。
ただ、無鉄砲な人が嫌いなので、個人的には主人公にイラッときましたが。
まあそういう性格の刑事じゃないと物語は進まないんだけど。
主人公の相棒のアサドがイスラム教徒のアラブ人?で、二人のミスマッチ感が暗い中にも明るいコミカル感を醸し出してていい感じ。
テンション低めの即席コンビですが、地道に淡々と、けれど着実に進んでいく捜査シーンは惹き込まれます。
欲を言えば、アサドがいいキャラなので、彼の個性をもっと深めて欲しかったところだが、続編もあるらしいので楽しみにしよう。