サマセット7

特捜部Q 檻の中の女のサマセット7のレビュー・感想・評価

特捜部Q 檻の中の女(2013年製作の映画)
3.8
ユッシ・エーズラ・オールセンによるデンマーク産警察ミステリー小説の人気シリーズを原作として映画化した「特捜部Q」シリーズ第一弾。
判断ミスで2人の同僚がそれぞれ殉職と再起不能になり、自らも重症を負ったはみだし刑事カール・マーク。
彼は殺人課から外され、新設の未解決事件の再検証係という名目の書類整理係「特捜部Q」に配属を命じられてしまう。部下は倉庫でハンコ押しをさせられていたシリア系デンマーク人のアサド1人のみ。
とりあえず手をつけてみた五年前の女性行方不明事件だったが、調べる内に意外な事実が次々と明らかになり…。

いわゆるバディ刑事もの。
この手のシリーズはとにかくキャラクターが重要だが、このシリーズのキャラ立ちはなかなかのもの。
頑固一徹、無謀無礼無愛想、妻とは別居中だが、捜査官としては一流の中年オヤジ刑事カール・マーク。
勤勉、善良、有能、恐ろしく苦いコーヒーを淹れるイスラム教徒、アサド。
渋いおっさん2人が、主にカールが突っ走り、アサドがアシストする形で事件を解決させていく。
2人の関係性の変化がポイント。

原作が国際的にヒットしただけあり、ストーリーが面白く、ぐんぐん先が気になる。
ジャンル的には、原作を映画用にアジャストした結果、ミステリーというよりも、サイコ・サスペンスという趣き。
「檻の中」の描写が怖すぎて、強く印象に残る。

全体的に、陰影や色彩が抑えられていて、映像がキャラクターの渋みを引き出しており、かっこいい。
北欧の映画というだけでなんだか格調が高いような気がしてしまう。

今作単独のテーマは、過去の清算、か。
カールの左遷のきっかけとなった冒頭の事件や特捜部Qそのものなど、全体にこのテーマで貫かれているように思う。
ラスト、カールの選択は、このテーマへの回答でもあり、清々しい。

上々のシリーズの第1作目。
特捜部Qの活躍をもっと見たくなった。