ブルームーン男爵

フェルメールの謎 ~ティムの名画再現プロジェクト~のブルームーン男爵のレビュー・感想・評価

3.8
頭も良い富豪のティムさんが、絵の専門教育は受けていないが、フェルメールの絵を再現してしまうというドキュメンタリー。部屋の再現まで行い、費やした歳月は5年。アメリカは突飛なことをやってしまう人がいて面白い。

フェルメールの絵は下書きがない、人間の視覚的にフェルメールの絵のような光の再現は難しい、フェルメールのいくつかの作品は縮尺などが完全に一致しているなどの点から、フェルメールは光学的な技術を使って描いていたのではないかというのがティムさんの考え。実際、専門家もその可能性が高いという。

カメラオブスキュラで現実を投影し(逆さに映る)、さらに手鏡をおいて(逆さの画像をもとに戻し)、手鏡の映像と見比べつつ描くというもの。現実の画像を手元に映し、ほぼなぞっているだけなのでフェルメールの絵はほぼ写真のようになったという。

この光学装置を使えば誰でもフェルメールのような絵が描ける。なんとも衝撃的。資料が残っていないから立証は無理なようだが、結構あり得そうな話である。とにかく、ティムさんの行動力がすごい。