カルダモン

ラビリンス/魔王の迷宮のカルダモンのレビュー・感想・評価

ラビリンス/魔王の迷宮(1986年製作の映画)
4.9
最初に見たのは8〜9歳くらい。すごく好きな映画で、大人になった今でもたまに見返したくなる。セサミストリートの生みの親であるジム・ヘンソンによる監督作。本業は操り人形師なので、マペットの造形や動きの細やかさは他の映画と比べても頭一つ抜けている。
細部まで作り込まれた迷宮のデザインはもちろん、キャラクター造形の豊かさ、デヴィッドボウイ演じるジャレスの美しさは30年以上経った今でも色褪せていない。
特にホグルの表情の細やかさには誰もが驚くはずで、この作り込みの楽しさは特典収録のメイキングで存分に語られているので必見です。

物語の大枠はサラの成長と、彼女に魅入られた魔王の話。サラの部屋に飾られていた様々なモチーフが迷宮を形作り、彼女自身の成長によって迷宮は崩れ去る。この映画が素晴らしいのは、好きなものに囲まれた部屋を否定しないこと。ぬいぐるみや、本や、ゲームと決別することなく、自分の大事なものとして消化するラストは成長譚として正しいと思います。

昨今のCG描写に飽きてしまった人に薦めたい一本。そしてメイズランナーがイマイチだったという方にも。今では考えられないような贅沢な視覚体験ができるはずです。デヴィッドボウイのオリジナル曲も素晴らしい。先日エッシャー展を観に行ったので思い出したようにレビューしました。