KATO

ビューティー・インサイドのKATOのネタバレレビュー・内容・結末

ビューティー・インサイド(2015年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

キム・ウジンは、性別・年齢・人種に関係なく毎日違う容姿に変化してしまう。
だから、長く付き合う友だちなんて作れないし、恋人なんてもってのほか。だって、明日自分は男になるのか、女になるのか、それとも子どもになるのかも分からないのだから。

好きな人の姿が毎日変わるとしたら、私はその人を好きでい続けることができるのか。
観るたびに自問しているけれど、私はいつも「自信がないなぁ」と思ってしまう。

外見は印象の一つだ。会うたびに変わっていくとしたら、やはり戸惑ってしまうに違いない。

ハン・ヒョジュ演じるイスが、徐々に疲弊していく理由がわかる。音楽の趣味もあって、自分のことを好きでいてくれて、性格も大好き。
こんなに彼は愛してくれているのに、顔を合わせるたびに戸惑ってしまう自分がいてきっと申し訳ない気持ちになるのだろう。

それに、ありもしない噂だってたてられる。

「イスはいつも違う男と歩いている。誰が本命の彼氏なの? 」

放っておけばいいし、気にしなければいい。そんなことは分かっているけれど、誰かとのつながりを断つことができない世界で、“気にしないこと”がどれほど難しいか。
ごまかすように笑って、その場から立ち去ろうとするイスの姿が切ない。

「好きなのに」と「好きだから」が積み重なると、こんなにも身の置き場がなくなってしまう。

誰かを好きになるって、どういうこと?
外見だけが大事なの?

日々、姿を変えていくウジンと、彼の恋人イスを通して、私たちは問いかけられる。
結局何も答えられることなんてなくて、ささやかだけど大きな決断をした2人に泣いてしまうのだ。

いつか答えが見つかるときまで、何度も2人に会いに行こうと思う。
KATO

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