しみしょう

はじまりへの旅のしみしょうのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

父・ベンが一家の大黒柱となり、人里離れた山奥で、野生的・原始的ながらも不自由なく暮らす一家。
仏教徒の母・レスリーの遺言である「火葬」を叶えるべく、ニューメキシコ州への「母の奪還」の旅へ出る。

政治的・宗教的思想へのメッセージ性が強烈。
自給自足といえば聞こえはいいが、どちらかというと「資本主義と国教に徹底的なNOをつきつける生活」のほうが正しい。
キリスト教を「無知な者に恐れを抱かせ服従させる、最も危険なおとぎ話」と言い切っちゃうの、度が行き過ぎていて、もはや清々しい(笑)

父が崇拝していた「ノーム・チョムスキー」なる人物、人間の自由を守るための活動をする言語研究者で、「アナーキスト(無政府主義者)」に分類されるらしい。
「無政府主義」って、反社会的で野蛮な印象を抱いていたんだけど、個人主義・自由主義と限りなく近く括られることもあるとのこと。
勉強になりました...

と、本筋から逸れましたが...
資本主義の弊害としての、ファストフードや清涼飲料水による健康被害は否定できないし、かくいう自分もベンの子供たちより学識がある自信はない。笑
それでも、レスリーの自殺、変人扱いされる息子たちの反発、娘の落下事故なしに父の考えは改まらない。
過ちに気づいた父、そしてその落とし所としての、現代社会と文明を受け入れたオーガニックな暮らしぶりに一安心。
現代社会への問題提起とヒューマンドラマをシームレスに融合した秀作だと感じた。
しみしょう

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