MariOgishi

はじまりへの旅のMariOgishiのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.5
会場は異様な雰囲気に包まれていた。
普段、話したり物音を立てたりしてはいけないというのが暗黙のルールとなっているスクリーンの中。だが今回は違った。初っ端えぐいシーンなのに急に笑い出すおばさんや、可笑しいシーンでは手を叩いて音を出すおじさん。
それにつられて笑う人々。

キャッシュ家は野生にかえり、”人間”として”地球”と生きて行く術を日々学ぶ。人として元々あるべき姿を求めている。それは時に社会には適応せず”世間知らず”と揶揄されるだろうが、自分の頭で考えて行動し、子供の小さな疑問に対しても理由を話し答えて、理解をさせる。
対照に、子供には不適切だからと、人の死因や性交渉についてはボヤかして伝え、社会から守ろうとする親戚一家。何も考えずに学校に通い、毎日ゲームをして怒られている子供達。普遍性とはなにか、どちらの方が正解なのだろうか、と多く考えさせられる。

スクリーン内は、まさに”それ”であった。自然と、自分を出してしまう雰囲気がそこにはあった。”個性を隠せるか?””ノー!”という台詞とともに笑い声が溢れる。

上映中、周りの声や音にイラついた私の方が心が狭く可笑しい人なのではないかと思わされた。
普通ってなんでしょうか?
MariOgishi

MariOgishi