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はじまりへの旅のmihoのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.9
とーちゃんやりすぎぃぃ!

自分の家族の何もかもを良くしようと
思って創り上げた父親の世界。

森を買って住み、運動と、自然食。
本での教育と自己主張する重要性。
時々街に出てみたりもするので
閉鎖的ではない。

心の病は食生活からというものね。
太陽の光を適度に浴びてとか。
あと、対人で繊細な心が壊れる事も。
すべては繊細な奥さんへの愛から
始まって更に子供のためにも
世間との隔離という方法を選ぶ父。

けれど、そこに刃物を使っての狩だとか
飲酒とか窃盗だとか不法侵入だとかも
教育の一環として入ってくるので、
違和感を感じてしまう。
ウィゴさん好きだけど、さすがに俳優が
好きというだけでは共感できない事態
でした(それだけウィゴさんが上手だった
のですよほんと。)

息子や娘は、頭はすごくいいかも
しれないけれど、他人とのコミュニ
ケーションは明らかに異質で、
ベンの妹の子が高校生にもなって知識が
いい加減でかたや、ベンの子はまだ小さ
いのにやたら詳しい子供。どっちが良いか
なんてそれをどうジャッジするかも
人それぞれだなと。父親の主張は
間違ってないし、でもやっぱり、
普通に暮らしてる私にとっては
ベンの妹と同じ気持ちになってしまう。

映画を観る前はタイトルもキャプテン
ファンタスティックていうので、
ウェスアンダーソン的ゆるコメディ
なのかと思ってたけど、そうではなく
笑えるものではない、(笑える所も
あったけど)父親と子供たちが真剣に
ライフスタイルを築いている
からこそ、変人かも知れないけど、
それはファニーではなく、何だか
心苦しい。時々辛くもなった。

けっこう、父親の感情が細かく描かれて
いたので、それだけでも見応えありました。

色々あって、父親の考え方が変わって
来て、子供たちもちょっと反抗したり
気を遣いながらも父親を愛してるのに
少しだけ涙が出ました。
なんか切ないのよ。ピュアだからかな。
まっすぐだからかな。抑圧的じゃなく
ヒッピーっぽいから苦しさみたいな
ものはないんだけどね。

子供みんなかわいかった。
サージ、ずっと男の子かと思ってたから
ラストの服装はびっくりした。美男じゃなく美女だったのね。

ベンが奥さんにかけた言葉、
「余計に悪くしちゃったかな」が
とっても切なくて涙。

何事もほどほど良いなと思いました。

beautiful mistake.
miho

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