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rikuの感想・レビュー

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.1
設定面白かったのと家族のキャラクターがよかった!

森(というか山)を買って父と子7人で暮らしている家族たちが主人公。毎日山道を走って、筋トレして、ロッククライミングして、食べ物は狩で獲った動物を食べ、子供たち同士で木の枝をナイフに見立てて一対一で闘う練習をして、クリスマスの代わりにプレゼントはナイフや弓矢(ボウガン?)で、みんな難しそうな哲学とか政治とか科学の本を読んで(父から宿題としていついつまでに何ページ読めみたいな)、7人で円になって楽器を演奏して歌って踊って、夜は星空の下で寝て…。子どもたちは厳しい自然の中で鍛えた強靭な肉体とタフな精神力と本で読んだ膨大な知識を持ち、その生活に満足しているようだった。

でも、心の病気で入院していた母の死をきっかけに子どもたちの気持ちにも疑問の気持ちが出て来る。
お葬式に出るために街に降りた家族が父の妹?の家族の家に泊まりいっしょに食事する場面。
父は子どもたちにワインを勧め、妹家族は「法律に違反する」と止めるが、父は「ワインは消化にいいし害じゃない」と主張する。
子どもたちの疑問に対して全て辞書に書いてあるような正確な定義を説明する父に対し「子供が知らない方がいいこともある」と反対する妹。
父の特殊な子どもの育て方に異議を唱える妹に対し、父は妹の息子2人(中学生と高校生)と、自分の娘、8歳の3女サージに権利章典の説明を求め、2人はしどろもどろ、サージは完璧に説明した。父は満足そうだった。

父の特殊な教育で子どもたちは学校に通う子どもたちよりも高い能力を持っていることは確かに思えるけど、社会の中でしか学べないことや経験できないことも大切で、彼らはそれらと一切無縁の生活を送っている。
一方で学校の押し付けの教育に疑問を持つことも大事なのは妹家族の子どもとサージの差にも表れている。森の家族はみんな知識をつけるだけじゃなくてそれを自分の言葉で説明する習慣があるから、それは学校での知識の単純なインプットに疑問を持った父が考えた本当に必要な力を身につける教育方法なのだろう。

でも結局それは父の理想を押し付けていることでもあって、子どもたちの意思を尊重できてたかは微妙。子どもたちが森の生活に満足だったのは森の生活しか知らなかったから、父が幼い頃から正しいとしてきたことに疑問を持つヒマもなくずっと信じてきたから。街に降りて子供たちの心に疑問が生まれるのは当たり前。
とはいえ親が子どものためを思って子どもに影響を与えるのはごく自然なことだと思うし、難しい。父の中には社会に出るよりも森の生活が人間的に成長できる場だという確固たる自信があったんだろうし…
自分の子どもが生まれたら色んな可能性とか選択肢をできるだけ狭めないであげたい。でもそんな単純な話じゃないとも思う。親にならないと本当にはわからないけどやっぱ自分の子どもには危ないこととか悪いことには触れて欲しくないから、間違った方向に進んで欲しくないからそのために悪い選択肢をなくしたくなりそう。

家族は大体の場合人生で1番長い時間いっしょに過ごす人たちで、だからこそ気付かないうちに親が子どもの人生を決めてしまうとかはよく言われることだけど、それ以外にも今の世界には常識とかこうでないといけない、この方がいいという感じがあって自分たちはいつの間にかそれに従って自分を制御してしまってるのかもしれない。そういうのがなかった超昔の世界は秩序とかがなくて野蛮で争いとかもたくさんあって、でも次第にルールができて暮らしやすい世界ができて、でも今はそういうルールや常識が整備されすぎてそれにとらわれて生きている人がたくさんいるのかも。


自分で何言ってるかわからないけど笑、
この家族の絆が素晴らしいこと、それぞれの子供たちがたくましく、かわいくて、かっこいいことだけは間違いない!

あと、末っ子のナイが男の子だと映画観た後に知ってかなり衝撃受けた