実に王道で普遍なテーマは納得なのだが、
アプローチが極端且つ曖昧過ぎる気がする…
ラストの転調までの違和感。
こりゃ美談一声では終われない。
反物欲主義。
大自然の中で生きる中、火は石で起こすが電気はあるし、家族は資本主義の象徴の賜物”車”で旅立つ。
子供達の綺麗な姿。
山ガールがキャンプに
来ましたじゃないのだから…
家長の思想も問題。
あまりに一辺倒。「権力NO」を謳う中で将軍様顔負の権力をかざし、子供達は物事の善悪を解らぬまま父親に従う。
これは非常に危険。
次男だけがこれを危惧し後々物語のキーマンになって行くのだけれど、窃盗や不法進入を”志し”だけで美談にするのは都合が良過ぎる。
ラスト15分で父は「やり過ぎ」に気づき自身等を顧みるのだけど、そこに到達するまでの現代社会への警鐘がスマートには伝わらなかった。
邦題『はじまりへの旅』
これは起死回生お見事。
このラストこそが”はじまり”と言うならば、
子供達をリードしていた筈の父親も子供達に諭され、教えられ(空港ではキーマン次男が先頭を歩き、新居ではミルクカフェオレを差出す姿)
新しい一歩を踏み出す成長。
ようやく迎えるスタートライン。
監督が伝えたかった真意と同調しつつ、
ここから本当の家族愛の姿がはじまるのだろう。
監督 マット・ロス
CAST ウィゴ・モーテンセン フランク・ランジェラ ジョージ・マッケイ サマンサ・アイラー スティーブ・ザーン etc
原題 『Captain Fantastic』
2016年 アメリカ 119分
http://hajimari-tabi.jp/
Jeff Buckley 『I Shall Be Released』
https://youtu.be/49mGaGyxoF8