ふたば三十郎

はじまりへの旅のふたば三十郎のレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
3.5
ナチュラル・ボーン・キラーな目をした俳優の一人、ヴィゴ・モーテンセンが、本作でアカデミー主演男優賞にノミネートされたとの事で、どんな殺し方...いや演技を見せてくれるのかと思っていたら、人殺しなどは皆無の映画だった。

いや、予告編見たら当然なんだけど、それでも、ちょっといざこざになりそうな瞬間に妙な緊張感を感じたのは私だけか。

人里離れた森で子供達とサバイバル生活をおくるお父さんの設定だが、ヴィゴ・モーテンセン自身がすでに人殺しの目をしているもんだから、下山した先々で俗世間のクズや街のダニどもの始末をレクチャーするランボーなオヤジにいつなるのかと思ったが、そんなことは当然なく、只々子供達への愛情に嘘はない“真摯な”父親の姿を見せつけられた。
ただし、それが世間に認められるかは別として。

観客はこの家族に対して色々な感情や意見があるだろうが、映画的にちゃんとオチをつけてまとめたのは良かった。
そして、ちゃんとこのオヤジを否定する内容も入れた上で、この家族の選択を描いてみせたことは素晴らしいと思う。
ただ、「これが唯一の正解です」って見せられたと感じた人によっては猛反発するのは納得。

ちなみにヴィゴ・モーテンセンといいマッツ・ミケルセンといい、なぜに北欧系の俳優さんはあんな冷酷な目をしてるのだろう。
笑っていても目はそのままというか。
ヴィゴ・モーテンセンはあの目を活かす作品があれば、今後のアカデミーなどのノミネートは確実だと思う。
やっぱり人殺しの役かなあ(笑)
☆☆☆★★