エンポリオ

はじまりへの旅のエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

とある社会の物語。
現代社会から遠く離れた森に暮らす一家七人の家族。自給自足、生の音楽に価値ある書物、それらに囲まれた彼らの日々は常に肉体と直結していた。そんなある日、家族と生活を別にしていた母親が亡くなったことを知った一家は母の葬式に乗り込むことを決意する。
良いなあ、好きだなあと終始頬を緩ませながら鑑賞した作品。お堅い表現や事実が多々見受けられる分、物語自体や、警句的な文言は非常に分かりやすく描かれていた。そうは言っても、しかしかなりチャレンジングな作品だったと感じた。映画全体を通じて言うまでもなく様々な受け取り方が出来る作品であったが、根底には、内と外、社会と個人との割合という考えへの視点が横たわっているように思えた。
着地が程よく曖昧であったのも好印象だった。うやむやにしつつ、美しく終わるこのエンディングへの終盤は非常に見事だった。ヒゲを剃る、頭を丸める、つまりそれは言葉よりも行動を重んじているということを示すための行動だったのだろう。
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