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はじまりへの旅のYZのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.5
すげー好きだった。

生活

ベンが望む哲学的というか、動物的な感覚に根ざした生き方、社会的な常識、偏見を極力排除した上で己の感情や意思を尊重し、自然の枠組みの中で他の生物たちとの相互関係を図りながら生きるということ、それが元来動物である我々にとっては勿論正しいというか自然な生き方なのであろうけど、それが自然の摂理であった頃と比較して現行ここまで変化しきった社会、かつ誰もがその枠組みからは逃れられない中でその生き方を貫き通すのは極めて難しい。ましてや己だけでなく次の世代である子ども達の意思も尊重するなら尚更。
外の世界へ度々触れる中で家族以外の他者との繋がりや肉体へ触れることに対する実質的な喜び、今の生活様式と自分たちの常識への根本的な疑問に子供達が少しずつ気づいていったのが印象的。

葬儀での周囲の反応、レリアンの反抗、ヴェスパーの事故を通して、終盤でベンが生き方を少し変えた、でもそれは諦めじみた社会への迎合じゃなく子ども達と奥さんの、意思や人生を尊重する為の彼なりの最善の手段だったのだと思う。自身の哲学よりも最後は人への、家族への愛が優ったってことなのかな。

踊りのシーン、そしてトイレ、楽しく華やかではあるんだけど、死をも生の一部として受け入れ、社会に背を向けてまでレスリーの意思をしっかりと果たし切るベン一家の美しい在り方、その家族としての強さに胸打たれました!Beautiful!

生きるということ、社会との距離感について考えるキッカケになる作品です。

期待値高くなかっただけにタイミングも相まって良かった!!またどっかで観返したいデス
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