Nak

はじまりへの旅のNakのレビュー・感想・評価

はじまりへの旅(2016年製作の映画)
4.0
かなり面白い。
共産主義の成れの果ては物質主義からの完全逃避なのか。
でもファーストシーンで鹿を殺した時の浮かない顔が、子どもたちの内心をすべて表してた。
人は結局、何かを殺して食ってかないといけないのだ。
そこに資本主義だとか共産主義は関係ないのかも。

全編通して、死んだ母の死体を取り返し、母の望み通り、火葬してトイレに流そうとする家族の話。
やっぱりこの、リトルミスサンシャイン的なストーリー進行は観やすいしおもしろい。
ロードムービーと目的あり冒険系の良いところが両取りできる。

母が自殺したと知らされるところから物語は動く。

最初はついに自殺、みたいな感じで、ああ前からやばかったんだなー、くらいに情報出しといて、
いとこ家族との食事の時に、躁鬱病だったこと、そのあと息子によって父が無理やり反物質主義の生活を押し付けたからおかしくなったというふうに、母の情報が小出しにされていくのがうまい。

それによって子どもたちと同じ感覚で父への不信感を募らせていく。

爺さんに、子どもの虐待、窃盗の手伝いなどをさせて裁判を突きつけられた時の父の悲しさは胸にくる。
だって父は本当にそれが正しいと思っていたから。
そして娘が大怪我したり、
極め付けは惚れた女に変人扱いされた長男が、本で得た知識しか僕たちにはない、と言ったこと。
それで、前シーンで権利賞典のくだりでドヤ顔してた父親の矜恃とか、一気に瓦解する。

でも結局子どもたちは父親のもとに帰る。
ここにたいしたきっかけがなかったのがアレだったが、そもそもこの父親がなぜこんな熱心な共産主義者になったかとか、そういうバックボーンも特に描かれていないし、最近そういうのべつに映画には要らないんだなってこともわかってきたからよき。

共産主義者なのに皮肉として賛美歌で警官を追い払うところ、最後にみんなでファーストシーンのように歌うところとてもよかった。