クリ

クリード チャンプを継ぐ男のクリのレビュー・感想・評価

4.0
新生クリードの大健闘。
どん底からの這い上がりを「自分」という絶対的な芯を持たせて描いたロッキーと比べてしまうと、如何せん説得力に欠けるが、伝説のチャンピオンの息子であるが故のプレッシャー、それが隠し子だったということで貼られる汚点というレッテルなどの新たな視点からのアプローチは成功していると言っていい。
ただ、それがアドニスの内的葛藤に終始してしまっていて若干、自暴自棄になっているのは勿体ない気がする。
外的な圧力としてもほとんど単純化されたものなので、もう少し工夫がほしかった。
加えて、ヒロインの存在もあまり記憶に残るものとは言えない。
あまり比べたくはないが、エイドリアンの場合は、酷く引っ込み思案で人見知りという非常に共感を得やすい人物造形でうまくいったと言えるが、今回のヒロイン(名前もやはり忘れてしまった)は「難聴」というかなり限定的な障害で、これではあまり観客側の共感を得られないのではないだろうか。
まだこの枷をうまく物語に組み込んでいればよかったが、「おっ」と思わせるような演出はなく、アドニスの声を遮るために補聴器を外すというところもどこか通り一遍で、このカットの撮り方も狙った感じがプンプン伝わってきてしまった。
最後に、この映画の技法的なクライマックスは中盤の2ラウンド長回し撮影なのだが、ここと差別化を図るためのラストファイトのシーン構成があまり魅力的に感じられなかった。
中盤を平易なカットで構成していたら、このような感覚にはならなかったはずで、どうしてもあの長回しの印象が強すぎてしまったと言える。
ただこの点に関しては、ラストファイトに長回しを持ってくることも良しとは言えず、かなり難しいところだろうとは思う。

あれこれ言ったが、いわゆるロッキーに圧倒的な何かを感じた者としての勝手な注文のようなもので、アドニス、ロッキーのバディはピカイチだし、総評としてはかなり満足のいく作品だった。