mOjako

クリード チャンプを継ぐ男のmOjakoのネタバレレビュー・内容・結末

4.8

このレビューはネタバレを含みます

もちろん1作目「ロッキー」は大好きだけど、シリーズ全て見ている訳じゃないのでそこまでコアなファンではないと思います。それでも本当に素晴らしいと思ったし、シリーズものの続編やリブートが多い昨今の中でもトップクラスに正しく「ロッキー」の魂を継承し今必要なメッセージを伝えていると思いました。というかこの話でこのキャストでこの展開でこの曲かけられたらそりゃ泣くよねってことだと思いますが。

素晴らしいのは今回主人公クリードが抱える葛藤やぶつかる壁が元のロッキーが抱えていたものと異なっていたところ。ここが非常に現代的かつスタローンはじめ監督のライアン・クーグラーら作り手が信用出来るあたり。つまりロッキーは寂れたフィラデルフィアで夢も希望も見出せず誰からも相手にされない若者がボクシングを通じて尊厳を取り戻す話ですよね。ニューシネマの壁をぶち破ってるところが凄い訳ですけど、普通今回のキャストや設定だったらこのストーリーラインは大方なぞると思ってたんですよ。ところが今回主人公クリードは生い立ちこそ不遇ではあるけど、母親に引き取られてからはお金も安定もあって自身の仕事先も何不自由なさそうな勤め先で。始まってしばらくは主人公が自分の現状に何の不満があるのか、何に葛藤してボクシングを始めようとしているのかがよくわからないんですね。このよくわからないけど表現しようのない不安感がまず今っぽいなぁと。
ただしばらくしてヒロインとの会話の中から主人公がボクシングを通して何を取り戻そうとしているのかがわかっていきます。難聴のヒロインがいつか聞こえなくなる、それでも歌手として歌い続ける理由は「生きている実感を得るためだ」と言います。そしてスタローン演じるロッキーがまさかの入院という展開もまたいくつになっても人生は闘いである=そうじゃなきゃ生きてる意味ないだろうという今作のテーマともバッチリあってて。師匠との誓い、恋人への想い、父親を乗り越え許すこと、何より自分自身の為にこそ全てを抱えて最後の闘いに挑んでゆく主人公の姿。そしてその瞬間あのテーマが流れる何とも言えない感動。

最近は「007」やら「スターウォーズ」やらのことばっかり考えてて。無性に楽しいけどそれってやっぱり現実逃避なんですよね(もちろんそれが必要な時もあると思いますが)。久々にガツンと来る映画でなんだかちょっと元気が出ました。素晴らしかったです。