OkadaMasakimi

クリード チャンプを継ぐ男のOkadaMasakimiのレビュー・感想・評価

4.7
ロッキーの魅力を完璧な形で引き継いだ新章。ファンなら間違いなく、知らない人にも単品でオススメできる大傑作!
ボクシングに疎い人でも白熱できるコンセプトはそのままに、あらゆる点でオリジナルを踏襲した展開。旧作を大切に現代版へとアップグレードされており、リング上の緊張感も迫力ある殴り合いも秀逸。

強敵と書いて友と呼ぶ、を体現したようなアポロの息子をロッキーが育てるというあらすじ。もう、この時点でワクワクしないわけがない。なぜなら、アポロの技はもはや本人にコーチを受けたロッキーしか教えられないのだ。世代と血縁を超えて息子に受け継がれるボクシングは熱い。

ストーリーはベタすぎるくらいだが、見せ方がうまく、ロッキーとドニーはお互いに対照的な生い立ちをしている点がよかった。
裕福で頭もいいが、流れているのはアポロの血であることを象徴している。優等生と冷やかされるのも、かつてロッキーがシンデレラと呼ばれたことと同じであり、単なる焼き回し作品に終わらずに、真逆の人間がチャンスを生かして同じ道を辿っているところが上手い。
中でもYouTubeを観てシャドーをする導入部が素晴らしく、ドニーが立っているのはロッキー側で、アポロと対峙する形をとっている。父を追いつつも振り切れない心境や、フィクションでありながらビデオがアップロードされている=現実にあった伝説的試合だという事を感覚的に伝えてくれるし、このシーンがあるからこそ、最後のカウントダウンとフラッシュバックに大きな意味が出てくる。旧作の使い方としてとても上手い形をとっていたと思う。テーマソングを流すタイミングも完璧。

基本的に展開はこの2人からそれることなく進み、本当にたくさんのファンサービスが散りばめられているにも関わらず、初見を置いてきぼりにしないところも好感が持てる。過去のエピソードをロッキーが思い出として語ることで、気づいた人に楽しく、かつ淋しさを感じさせているのがよかった。
そうした点で素晴らしいのは、作中で「時間の経過」を感じさせる表現がとても多かったところだ。オマージュもそうだが、現役の話や墓参り、闘病生活、トレーニングに至るまで、今まで積み重ねた歴史、ロッキーの人生の積み重ねが空気のように感じられる。
なによりラストシーンのお気に入りの場所。スタローンの分身として、同じように年老いたロッキーの姿は演技以上に心にくるものがある。哀愁を感じずにはいられないが、ロッキーがロッキーのままでよかったと思わせてくれる。

また、クリードは信念や信条を意味しており、当時は強敵アポロを表現した名前だったのかもしれないが、この映画のタイトルとしても狙ったかのようにピッタリだ。