影虎

クリード チャンプを継ぐ男の影虎のレビュー・感想・評価

4.8
人間は自然発生的にポッと生まれ落ちるわけではない。一人の人間が誕生してから死ぬまでの人生には多くの人間が関わっている。

ロッキー・バルボアとはシルベスター・スタローンそのものである。
売れない役者をしながら書いた脚本『ロッキー』で栄光を掴み、演技が下手だの筋肉アクションのバカ俳優だのとバカにされ続けながらも映画を作り続け、そして齢69歳にして未だ現役で闘っているのがスタローンなのだ。

本作の主人公ドニーは自分が何者なのかという答えを探し求めている。
孤児なのに"クリード"の名前だけあり、自分は何者なのかはっきりと自信が持てずにいる。

その気持ちはスタローンの気持ちとぴったり重なる。
売れなかった頃、食べるためにポルノ映画に出演したりヤクザの子分をやっていたりした時のスタローンはどれだけ辛かっただろう。どれだけ心細かっただろう。
何者にもなれない自分に嫌気が差し、世界の全てを憎みたくなったはずである。

だからこそ、ロッキーの言葉には重みがある。

ロッキーは人生のどん底に立った時、人生に絶望するのではなく、真正面から立ち向かった。自分の周りにいる人々によって支えられ、人生の大きな局面で闘った。そして、栄光を勝ち取った。

ドニーはそんなロッキーの精神を伝承する。ロッキーに支えられ、時には相手を支え、栄光を勝ち取るのである。

ドニーはこれからアポロ・クリードとロッキー・バルボアを受け継ぐ男として、新しい時代を作っていくのだろう。
若い世代への精神の伝承、本当に素晴らしかった。