もるがな

クリード チャンプを継ぐ男のもるがなのレビュー・感想・評価

5.0
これはただの伝説の足跡を追うだけのスピンオフ映画ではない。まだ「何者」でもない男が命を賭けて戦う物語である。

今までのシリーズのファンにとって老いたロッキーを見るのは一抹の寂しさを感じるものの、これだけのシリーズを重ねてきたが故の感慨深い台詞が多い。それらが交差する終盤のウエットな演出は反則級でスクリーンが涙で見えなかった。

クリードこと、主人公のアドニス・ジョンソンのキャラ造形は素晴らしいですね。類い稀な出自と素晴らしい素養を持ってしまった「至って普通の」「現代的な若者」なのが面白い。それでいながら普通の人間が当たり前に得られる承認やらアイデンティティやらを持ってないという葛藤があって、それが戦う動機に繋がるのがいい。このあたりの孤独感は非常に現代的で、感情移入する人も多いかもしれない。

結局は、人生とは承認欲求と自己証明の戦いなのである。普段なら邦題のサブタイトルに文句を言うのだが、今回だけは納得せざるを得なかった。チャンプを継ぐ男はお前だよ、クリード。