楽しめた。アポロの息子という着眼点が上手い。このシステムを使えば延々とロッキーシリーズが作れるな。
ロッキーシリーズ完走直後のためか、主人公よりもロッキーに感情移入してしまった。妻も友人もみんな死んでしまい、息子も遠く離れて暮らしている孤独な老兵。そこへやってくるあの宿命のライバルであるアポロの息子。彼にトレーニングをつけ、自身も病と闘うことを決意する。こんなのグッと来ないわけがない。
トレーニングシーンやあの階段のシーンなど、シリーズファンが喜ぶ要素をしっかりと入れているのもさすが。主人公を演じたマイケル・B・ジョーダンも嫌味がなく好感が持てる（正直彼の恋愛模様はどうでも良いと思ってしまったが）。育ちの良さが滲み出る知性ある顔立ちながら、自分の出自に悩み葛藤している様子がとても良かった。
ただ、これまでのシリーズを観てきた上で、やっぱりさらりと描かれた「ロッキーが実の息子とあまり良好な関係ではない」という事実は寂しかったなぁ。今回はロッキーが病に冒されるわけだし、その点だけはどうにも不満だった。
ラストの試合もなかなか鬼気迫る迫力があり、とても良かった。惜しむらくは対戦相手に魅力や個性がなさすぎたことくらい。試合中に主人公が言う「I'm not a mistake（俺は"過ち"じゃない）」は泣ける。続編も観ちゃうなこれは。
