すずき

クリード チャンプを継ぐ男のすずきのレビュー・感想・評価

4.2
今作ではすっかり年老いて、完全に体が弱ってる爺のロッキーだが、それでもカッコいい。
役者本人以上に完全におじいちゃんに見せるスタローンの演技も必見。これはラジー名誉挽回賞獲れますわ。

それまでのシリーズのオマージュというか、大事にしてる感が伝わってくる脚本。「ファイナル」では無かった事にされた「ロッキー5」の要素も多少あり、「5」肯定派には嬉しい。
年老いたロッキーの、アドニスに向けたアドバイスの数々は全て今までのシリーズで経験した事ばかりで、だからこそ言葉の重みが違う。一言一言にロッキー・バルボアという男の人生の一部がこめられているのが理解できる!
新主人公・アドニスは父親アポロとロッキーの魂を受け継ぎ、そして最終的には自分との戦い、という初代「ロッキー」の主題も受け継いで、最終ラウンドにかかるあの名曲…心熱くならないわけがない!

しかし、過去作のオマージュだけでなくて、勿論アドニスの物語もしっかりと描かれている。
ビアンカとの恋物語、面識のない偉大な父親アポロへの複雑な思いとクリードの名を継ぐ事への葛藤。偉大な父親、のテーマは「ファイナル」でも描かれたが、ロッキーJrと違いアドニスは父と同じボクサーの道を選んだため、今作はより直接的だ。
様々な要素を詰め込んだ結果、ロッキーシリーズ初の二時間超えになったが、ダレる事無く最後まで楽しませ、感動させてくれる。

映像もやっぱり最近の映画だね、とても綺麗。ダメージ描写はシリーズ1痛々しい。また、「バードマン」みたいな長回しもキマってるし、リング上以外の物を映さない演出とかカッコいい小ワザも光る。

それまでシリーズを知らない人にでも十分に楽しめるボクシング映画だけど、やっぱりそれまでを知ってると倍以上に楽しめるので、見る前に予習はしておいたほうがお得でっせ!
「ロッキー」シリーズのスピンオフ、との謳い文句だが、間違いなくシリーズの続編「ロッキー7」であり、「クリード」という新たな物語だ。伝説は終わらない…