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クリード チャンプを継ぐ男のnamのレビュー・感想・評価

4.3
「アドニス・クリードの新たな伝説の始まり」

クリードⅡに向けて7作予習のラスト。
素晴らしかったですねー

ロッキーシリーズの続編というよりも、世界観は踏襲しつつも新しいアドニス・クリードの新たな物語の第1章でした。
アポロの息子であるアドニス・クリードは幼少期に父が伝説チャンピオンと知りつつ、働いていた会社を辞めてまでボクサーになる決意をし、父の盟友であるロッキーに師事を頼む。

まず序盤でのアドニスの何不自由ない暮らしにも関わらずボクサーを志すシーンで、過去の父の試合のYoutubeを観て、思わず重ねつつシャドーボクシングをしてしまうシーンが素晴らしかったです。
会った事もない父への尊敬や憧れや抑えきれない闘争本能などこのシーン一発で理解させる素晴らしい演出でした。

そしてストーリーもアドニスの父の名を背負う事へのプレッシャーや挑戦する事への葛藤や焦りと様々な複雑な要素をマイケルBジョーダンが上手く演じてました。

またシリーズを観てきた人に対してのロッキーの師としての葛藤を想像されてしまいまた良かったです。あれだけのボクサーがトレーナーとしての人生を歩んでなかったのがトミーで失敗した過去があったからなのか。それでも引き受けたのはアポロの死の責任を感じてしまっているのか等
ロッキーの目線でも共感ができて楽しめます。

いざ試合を受けるシーンも普通のトレーナーならキャリアのない段階では止めそうなものですが、ロッキー自身がチャンスをもらってきた過去と重なり、こういった決断になるんだろうと想像してしまいました。

それ以外にもセリフや細かい演出にファンが楽しめる要素を散りばめつつ新たな要素も交えつつ作品を作り上げたライアン・クーグラー監督の演出は素晴らしいの一言です。

クーグラー監督が思いついた本作品の脚本をスタローンに直に提案をした所、そんな映画も撮った事のないような若者の二次創作のようなものだったにも関わらず、スタローンがGOサインを出したのは彼自身が若き日に売れない役者だった時に自身で書いたロッキーの脚本をきっかけに売れたから、クーグラーにもそんな自分の姿を重ねてチャンスを与えたのではないかと想像するともう堪りません。

そんなクーグラー監督の演出はとてもカッコいい画作りや音楽の使い方、そして試合シーンでのワンカットの長回しなどオリジナリティのある演出も出しつつ、ラストにはきっちりメインテーマをいいタイミングで流したりとさすがでした。

スポーツの師弟ものとして今までのシリーズを観てなくても楽しめますが、ロッキーシリーズを観てると何倍も想像できて楽しい作品でした。

ブラックパンサーをの監督を務めるために監督は変わってしまうのだけは残念ですが、クリードⅡが楽しみですねー
父の仇との試合ってだけでもうたまりません!
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