モウドクウサギ

エイリアン:コヴェナントのモウドクウサギのレビュー・感想・評価

エイリアン:コヴェナント(2017年製作の映画)
4.0
小学生・低学年の頃、TVで初代「エイリアン」を観た衝撃はすさまじく。ビックチャップのあまりのカッコよさにソフビ人形を買ってもらい、ランドセルに入れて登校したり、洗濯機の中に忍ばせて母を驚かせたものだ。エイリアンシリーズはフィンチャーの3以降、ダメな感じになり(個人的には3も相当好き)、前日談として再起をはかった「プロメテウス」を初代監督リドリー・スコットが指揮を執るも、矛盾が生じる脚本の上書きなどをし、力みすぎで不発感を残した。今作は、その続きであるが正真正銘「エイリアン」の名を冠した最新作である。今作を貶めようとするのは容易だ。『真新しさやインパクトがない』『プロメテウスでの青ゴリラ×巨大イカのような宇宙春画がない』という意見はあろう。科学的な背景が意味不明でなんちゃらフレアとかは、「オデッセイ」でも考証が雑だったリドリーなんで別にどうでもいい。だが、今作「コヴェナント」は非常に初代や「3」あたりを彷彿とさせる古典「エイリアン」の香りが濃厚に立ち込めている。未知の怪物の前では、普通の人間は慌てふためき、慄くのみ。血糊で2回滑る天丼などは、爆笑必死だ。そして、「エイリアン」シリーズに強烈なスパイスを残してきたアンドロイドが、今作の基軸を成しているのも感慨深い。人を創りし神に、人々は抗い、文明を拓いてきた。では、アンドロイドにとっての神たる人に、彼らは何を成すのだろうか…。正直、今作は地味系「エイリアン」だろうが、見どころも多く、エイリアンシリーズの中でも "6本の指" には入るだろう。