ひろあき

山の音のひろあきのレビュー・感想・評価

山の音(1954年製作の映画)
2.7
原節子の義母の顔が、『ティファニーで朝食を』の例の偏見丸出しの日本人大家と似ていた。外国人からみた一昔前の日本人像は丸メガネで目が細くて出っ歯などのイメージがある。この前中国人の友達にも同じようなことを言われて、そのイメージがどこから来ているのか疑問だった。この映画をみて少し納得。昔の日本人の顔ってこんな感じだったのか。すごくアジア的で猿っぽい。そりゃ欧米人ははアジア人を見下すわな。
ストーリーに関して言えば、小津安二郎『東京物語』や黒澤明『生きる』に見られるような小さな世界の話。ハリウッド的な勧善懲悪や最後にカタルシスがあるような(このイメージはもう古いか?)ことはない。どんどん話が望まない方向に進んで行き、最後に大きな決断をするが、誰も幸せにはならなそうな未来が予想できる。映画館を出ても虚しさだけが残る。人間の一つ大切な感情を沸き起こさせるが、俺は映画にはこれを求めていないなあ。まあでも、だからこそたまにはハプニング的に映画館に入るということも良いのだが。
『昭和のダンディズム』という特集で上映していた映画だったが、ダンディズムとは小さくて弱い人間が、それを開き直ってやけになりつつも、そこはかとなく滲み出てしまう哀愁のことなのではないだろうか。
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