不思議な作品。
最初はつまらなくて観るのを断念しようかとも思ったのだけど、特殊な設定とスローな流れと閉鎖的舞台に、何だか心がざわざわし始めて、最後まで観なきゃと思った。
ポルトガル・リスボン。視覚障がい者の診療所。
古い修道院を無償で借りトレーニングしている。
そこにやって来たインストラクター、盲目のイアン。
杖を使わずに『反響定位』という方法を教える。
盲目の子供たちが好奇心を持つが、この方法は危険と隣り合わせでもあり…。
『イマジン』と言うとジョン・レノンと思うが今作は全く関係ない💦
ポーランド映画ということで監督も俳優陣も知らない人ばかり。
サブタイトルは『リスボンで出会った盲目の男女は恋に落ちた。』だが、ラブストーリーではない。邦題にはホント騙されるわ。
イアンをエドワード・ホッグ。
イケメン。素敵です。
役にもピッタリ。
不器用で愛情深い、大胆なのに繊細な心。
理解出来ない行動もあるけど、この人物の心からの叫びが聞こえる、そんなキャラだった。
エヴァをアレクサンドラ・マリア・ララ。
長いな名前。『ラッシュ/プライドと友情』に出演。
綺麗で背が高くモデルのような美人。
その悲しみと喜びと、感情の移り変わりが上手かった。
ハイヒールと裸足。どちらも美しい。
後半、イアンとセラーノという青年が夜の街を行く。
港を探しに行く。真実を探しに行く。
見えない2人がどんどんと歩いていく様をカメラは上から撮っていく。
ドキドキハラハラして、もうスリラーかと思う程。
カメラワークが実に面白い。
このシーンが好きだ。最高のシーン。
前へ、前へとずんずん進む盲目の2人。
この地味な画を(失礼ながら)お洒落に撮っている。
リスボンという街は、何とも魅力的だ。
ヨーロッパ最西端に位置し、お隣スペインの派手さはなく、忘れられてしまいそうな小さな国の首都だ。
『リスボンに誘われて』は大好きな作品だが、この街には日本人が好きだろう郷愁が溢れている。
道も道路も石畳で、縁石で区切られている。
割と車のスピードが出ていて、渡る度にハラハラするよ。
やっぱスリラーだわさ💦
登場人物はほぼ盲目で、この作品は会話と共に音が大事だ。
次回は耳を澄まして観てみよう。
ラストはお洒落。
これがイヤらしくなく粋と思えるのは、それまでの長いカメラの向こうを観て来たから。
じっくりと楽しむ作品なのだ。
そして、余韻がとても、いい。
よくぞこれを映画にしようと思ったなあ!挑戦だわね。