享楽

ハイヒールの男の享楽のレビュー・感想・評価

ハイヒールの男(2014年製作の映画)
4.5
「ハイヒールの男」と初めて聞いて恐らくオカマの話かな?と思いなんとなく前情報もなく観たところこれがまた面白い。

少年期のある出来事をきっかけに、ずっと女性になりたい願望を抱えてきた超敏腕刑事が、ある事件に巻き込まれるが…

この映画が斬新新鮮に感じるところがあり、超敏腕刑事が事件を解決してゆく…というより、主人公ジウク(チャ・スンウォン)が女性になるか、劇中で出逢った少年期に思入れのある女性のためそれを途中で断念するか、苦悩し葛藤しているところが主な見所である。
劇中、ジウクが過去の少年期の、女性になりたいきっかけを持ち始める回想が断片的に演出されるが、それがまた哀しく少年特有の純粋さを感じ、それをそのままとは言わずも近い形で現在まで引きずっているあたり、この男はどうしようもないが純粋で、なかなか現実の人には見られない魅力がある。
最初にこの映画を観るとき、何故主人公のこの男は女性になりたいのかという疑念を抱いて観れば、最後この男、というよりこの人間に魅了される。


アクションシーンはそれに付随するサブ的見所になるが、これもまた大雨の中傘を差しながら、少しも濡れずに大勢の敵を華麗に美しく倒すところにオカマ美学のようなものを感じた。
鏡を見てメイクをした自分に、過去の記憶もあって嫌悪を抱き、首を傷つけてしまうメンヘラ的シーンを見たときはさすがに複雑な気持ちになり上手く笑えなかったが、映画の中の過度に強い人にはこういう弱さがあると人間味が増す点いい描写だ。

途中観ていれば理解できるが、彼が女性になりたいのは過去の出来事が理由であるので、特別劇中で女性的な動きをしたり「もぅどんだけ〜」などとハイテンションでキャピキャピしたりはしない。その辺に期待してはいけない。

オカマというコンテンツを生かし少々コメディ的笑い要素も随所に盛り込んでおり、(完全に女装しているところ、ふと電話がかかってきたとき、いつもの声で「俺だ」と呟き周りの視線が集まる や オカマクラブのようなところで上半身から女になって腰で止めた…など詳しくは観て頂きたい)
120分という尺度だが意外に飽きない。
暴力描写は少々グロテスクだが、それは彼主人公の感情のメタファーのようはものであり、純粋にグロいなどとは感じないはずだ。