海老

劇場版 ムーミン谷の彗星 パペット・アニメーションの海老のレビュー・感想・評価

2.2
公開年が2010年なのに、随分と画質が古い。と思ったらそれもそのはずで、昔の映像の再編、リマスターだったんですね。

なので、良くも悪くもムーミンファンに捧げられた作品なのかなと思います。ムーミン作品のことをほぼ知らない僕自身はどうしてもハンデを感じてしまう。

フェルトで作られた人形のストップモーションアニメで、クレイアニメと比べても、一層儚げで侘しげな独特の雰囲気があります。更にそこに加えて主題歌にビョークを抜擢しているものだから、儚げを通り越してちょっと怖い。毎秒のコマが少なくカクついたストップモーションに、ビョークの歌声が乗っているところを想像してみてください。なかなかに病的な絵が浮かびませんか?そんな感じです。

もともと児童文学のムーミンを、子供に絵本を読み聞かせるかのように仕上がっています。Eテレで扱っていそう、と言った方が伝わる方には伝わるかも。子供は食い入るように見ておりました。とりわけ真新しいストーリーというわけじゃないのですが、話の端々に教訓が挟まるのも児童文学ならでは。

驚いたのは、ムーミンパパが太陽系の概念を知っていて、地球が惑星だと認識していたこと。こういう世界観のキャラは自分たちの世界の中で生きていると勝手に思い込んでいたので、ムーミンに地球と太陽の位置関係を教え出したことにビックリ。
…の割には、彗星のしっぽについては「地球に向かっているんだからここからは見えないよ」と言い出すので、嘘を教えるんじゃない、とツッコミを入れてしまいました。笑
(しっぽは太陽と逆方向に伸びる)

全編通して、ムーミン、スニフ、スナフキンの緩やかな冒険ではありますが、扱っている話は、世界が滅びるかもしれない時に誰とどこにいて、どう過ごしたいか、という寓話にもなっています。

映画として面白かったか?と聞かれると評価は落ちますが、子供には見せて良かったと思える絵本的なお話でした。
海老

海老