アリスのままでのえいがうるふのネタバレレビュー・内容・結末

言語学の教授が言葉を失っていくという皮肉。その絶望感の凄まじさは凡人の私にもそれなりに想像はできる。頭脳明晰な才女だったヒロインが徐々に自分を見失っていく様を見事に表していたジュリアン・ムーアの演技に引き込まれた。

ただ、作品全体の展開はやや冗長な印象。また不幸な病に侵された本人が辛い以上に、現実には逃げ場のない心労と先の見えない労苦を強いられるのは家族や周囲の人間だと思うと、最後まで家族全員から愛され手厚く介護される彼女の恵まれすぎた境遇がフィクションならではのファンタジーに思えてしまい、いまひとつ感情移入出来ないまま終わってしまった。意義ある題材だとは思うが美しい優等生映画にとどまった印象は否めない。