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アリスのままでのchiのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.9
アカデミー賞はじめ数々の主演女優賞を取ったことが納得の演技だった。若年性アルツハイマーを患い、50歳で記憶を失っていく大学教授。この大学教授という設定が、悲惨さを強めていて見ていて辛い。言語学者としてこれまで学び培ってきたものが全て雪崩のように消え去っていく。これまでの彼女の人生が無きものにされたようだ。知能が高いほど進行が早いというのも初めて知ったが、たしかに感覚としても納得。徐々にわからないことが増えていっていることに自覚があるわけで、それは辛すぎるわ。

終盤の講演で話した内容が胸に迫る。アルツハイマーによって変わっていく自分。変わってしまった姿は病によるものであって、それは自分自身ではないという話は、「僕とあたまの中の落書きたち」でも同じことを言っていた。私は病にかかっているが、病が私ではないのだと。

家族の支えが何よりも重要だなと感じる。忘れられる側も辛いから難しいが、もうあなたが私を忘れても私があなたを覚えているわと前向きに支えるしかないなぁ。
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