S

アリスのままでのSのレビュー・感想・評価

アリスのままで(2014年製作の映画)
3.5
若年性アルツハイマーのお話。本当に辛い。物忘れが激しくなるところから始まって、次第に家族との会話も少しずつままらなくなって(すれ違ってしまって)いったり、娘のことも忘れてしまったり……。大切な人がこういうことになったら、自分がなったら、本当に想像だけで苦しい。

癌の方がマシという言葉がこんなにも刺さるなんてなぁ。癌なんて死を覚悟するとても怖いものだけど、場合によっては100%治らないものではないし治療法もある。アルツハイマーは現時点では何もできないというのがもう……。

苦しんでいるのではなく戦っているのですっていうのは、全ての闘病者に当てはまる言葉だなと思った。苦しんでいると聞くとこっちも「可哀想」と思ってしまうけど、戦っているんだと言われると、そんなことは思いたくないし頑張れって励ましの言葉しか浮かばなくなる。この考え方はとても素敵ね。

ただ、このFilmarksの日本版ポスター?ではないもう一つの方に書かれている「何があってもボクがついてる 君の全てが好きだ」なんてキャッチフレーズはなぜつけた?笑

愛妻家の夫、良い関係を築いている息子夫婦、長女………そして唯一主人公に反抗的な態度や言動をとる演劇をやっている定職にはついていない末っ子の娘。みんな良い家族だよ。本当に良い人たち。でも若年生アルツハイマーの症状が進むにつれて良い人だけど目を背け始めた(といったら厳しすぎるかもしれないけど)。でも実際唯一最後まで看病をして側にいたのは末っ子じゃん。夫も他の子供たちも決して逃げ出したわけでも投げ出したわけでもないけど結局自分本位なんだよね。みんな「極力関わりたくない」「わかってるけど自分はこうしたいから主人公がいるけどやってしまう」からは離れられなかったじゃん。

良い話だなとは思ったけど、「何があってもボクがついてる 君の全てが好きだ」と言われると、私が見た映画とは若干異なりますね……となるよ。

「世界一きらいなあなたに」しかり、洋画に内容に絶妙に沿わない邦画タイトルやキャッチコピーつけたりするのやめてほしい。
S

S